コロナ対策 消費税

コロナ対策!還付もれ注意!消費税の課税選択特例

2020年6月7日

CHECK

消費税免税事業者のみなさん、コロナ対策で新たに出来た消費税の特例をご存知ですか?
コロナの影響で売上が半減した場合、消費税の還付を受けられるかもしれません。

今回は還付を受けられたのに手続してなかったという事がないように、コロナ緊急経済対策の一つ「消費税の課税事業者を選択する(やめる)届出等の特例」について解説します。

消費税課税事業者選択(不適用)届出の基礎知識

今回できた消費税の特例は現行の消費税課税事業者選択(不適用)届出に関する特例になります。

ですので特例の解説に入る前に、まずは現行の消費税課税事業者選択(不適用)届出について簡単に解説しておきます。

消費税課税事業者選択届出とは

免税事業者(消費税を納税しなくていい事業者)が、課税事業者(消費税を納税しなければならない事業者)になることを選択する場合の手続です。

課税事業者を選択する場合「消費税課税事業者選択届出書」を届出期限までに税務署に提出する必要があります。

そもそも何で免税事業者が課税事業者を選択するのか?

そもそも何で消費税を納税しなくていい免税事業者が、消費税を納税しなければならない課税事業者を選択するのでしょうか?

消費税の計算は「課税売上に係る消費税-課税仕入に係る消費税」でおこないます。

  • 普段は「課税売上>課税仕入」なので
    課税事業者:課税売上に係る消費税90-課税仕入に係る消費税50=納付税額40
    免税事業者:納付税額40を納税しなくていい
    ∴免税事業者の方が有利になります。
  • ですが設備投資などで「課税売上<課税仕入」になると
    課税事業者:課税売上に係る消費税90-課税仕入に係る消費税120=還付税額△30
    免税事業者:還付税額△30の還付を受けられない
    ∴課税事業者の方が有利になります。

ですので設備投資などで「課税売上<課税仕入」になる場合は、還付を受ける為に、免税事業者であってもあえて課税事業者になることを選択します。

消費税課税事業者選択不適用届出とは

課税事業者を選択していた事業者が課税事業者の選択をやめよう(免税事業者に戻ろう)とする場合の手続です。

課税事業者の選択をやめる場合「消費税課税事業者選択不適用届出書」を届出期限までに税務署に提出する必要があります。

現行の消費税課税事業者選択(不適用)届出の制約

現行制度には以下の制約(1.届出期限、2.3.変更制限)があります。

現行制度の制約

  1. 消費税課税事業者選択(不適用)届出書の届出期限・・・事前届出。課税事業者を選択しようとする(又は選択をやめようとする)課税期間の初日の前日まで(届出が前期までなので当期の状況に応じて届出という事が出来ない
  2. 課税事業者選択後2年間の継続適用要件・・・課税事業者を選択した期から2年間は課税事業者を継続しなければならない(2年間は免税事業者に戻れない)
  3. 課税事業者選択後2年間に調整対象固定資産(100万円以上の固定資産)を取得して一般課税で申告した場合の「消費税課税事業者選択不適用届出書」の提出制限・・・取得をした期から3年間は課税事業者(一般課税)を継続しなければならない(3年間は免税事業者に戻れない、簡易課税も使えない)

1.届出期限・・・事前届出なので設備投資をする前の期までに消費税課税事業者選択届出書を出しておかないと還付を受けられません。ですので計画的に設備投資をする必要があります。急な設備投資には対応できません。

2.3.変更制限・・・課税事業者を選択すると、2.は2年間、3.は3年間、免税事業者に戻れません。ですので設備投資を予定していったん課税事業者を選択すると急な設備投資の中止で課税事業者をやめたい場合でも免税事業者に戻れません。

消費税の課税選択の変更に係る特例

特例の内容

上記のとおり、現行制度では計画的な設備投資には対応できますが、急な設備投資や設備投資の中止には対応できません。

ですがコロナという不測の事態で、コロナ対策の為の設備投資や業態変更に伴う設備投資など急な設備投資やコロナの影響で設備投資が出来なくなるなど急な設備投資の中止が生じます。

ですので特例はそのような急な設備投資や設備投資の中止に対応する内容になっています。

特例の内容

  1. 消費税課税事業者選択(不適用)届出書の届出期限・・・事後届出。課税期間の開始後であっても課税事業者を選択する(又は選択をやめる)ことが出来ます(当期の状況に応じて届出が出来る
  2. 課税事業者選択後2年間の継続適用要件・・・適用されません(翌期に免税事業者に戻れる
  3. 課税事業者選択後2年間に調整対象固定資産(100万円以上の固定資産)を取得して一般課税で申告した場合の「消費税課税事業者選択不適用届出書」の提出制限・・・適用されません(翌期に免税事業者に戻れる

1.届出期限・・・特例は事後届出なので設備投資をした後に消費税課税事業者選択届出書を出せば還付を受けられます。ですので急な設備投資に対応できます。

2.3.変更制限・・・特例は変更制限がないので設備投資を予定して消費税課税事業者選択届出を出したがコロナの影響で設備投資が出来なかったという場合でも免税事業者に戻ることが出来ます。また事後届出なので設備投資の中止が決定してから消費税課税事業者選択不適用届出書を出しても間に合います。
その他、変更制限がないので還付だけ受けて次の期は免税事業者に戻るということが出来ます。

特例の要件

特例の要件は以下のとおりです。

特例の要件

  • 特例対象事業者:コロナの影響で事業収入(注1)が前年同期比50%以上減少した事業者
  • 特例対象期間:特定課税期間(注2)以後の課税期間
  • 承認申請手続:申請期限(注3)までに特例承認申請書、収入減少の確認書類、消費税課税事業者選択(不適用)届出書を税務署に提出し承認を受ける

(注1)令和2年2月1日~令和3年1月31日までの任意の連続した1か月以上の事業収入(臨時収入除く)

(注2)コロナの影響で事業収入の著しい減少があった期間内の日を含む課税期間

(注3)申請期限

課税事業者を選択する場合・・・特定課税期間の末日の翌日から2月以内(個人事業者は3月以内)

課税事業者の選択をやめる場合

  1. 特定課税期間から課税事業者の選択をやめる場合・・・特定課税期間に係る確定申告書の提出期限
  2. 特定課税期間の翌課税期間以後の課税期間から課税事業者の選択をやめる場合
    ⑴ 特定課税期間の末日が、課税事業者選択届出書の提出により課税事業者となった課税期間の初日以後2年を経過する日(2年経過日)以後に到来する場合・・・特定課税期間に係る確定申告書の提出期限
    ⑵ ⑴以外の場合・・・「2年経過日の属する課税期間の末日」と「課税事業者の選択をやめようとする課税期間の末日」とのいずれか早い日

特例に関する情報

リンク:消費税の課税選択の変更に係る特例について(国税庁ホームページ)

まとめ

いかがだったでしょうか?還付を受けるためには消費税を計算できる帳簿体制にしておかなければなりませんが、条件に当てはまりさえすれば事後届出で確実に還付を受けることが出来ます。売上が半減した事業者の方は還付もれにご注意を。

-コロナ対策, 消費税
-,