住宅ローン控除 所得税

住宅借入金等特別控除額の計算明細書ケース別記載例まとめ

2021年2月27日

STUDY

住宅ローン控除の計算明細書は消費税率が複数の場合や中古リノベなど組合せによっては書き方が複雑になります。更に共有の場合のすまい給付金など注意点もあります。

そこで今回は国税庁の記載例をケース別に検索しやすいように一覧に整理し、それぞれのポイントについてまとめました。

令和元年分の記載例ですが、令和2年分以降も使える内容になっています。

記載例一覧

記載例一の取得二以上の取得ポイント
1-1居住開始令和元年10月31日
住宅取得(消費税10%
なし一の取得
一つの計算明細書
2-1居住開始平成31年1月15日
住宅取得(消費税8%
居住開始令和元年10月31日
増改築等(消費税10%
一の取得とする
一つの計算明細書
2-2居住開始平成31年1月15日
中古取得(消費税なし
居住開始令和元年10月31日
増改築等(消費税10%
二以上の取得
二つの計算明細書
3-1居住開始令和元年11月15日
当初契約(消費税8%
変更契約(消費税10%
なし一の取得
一つの計算明細書
3-2居住開始令和元年11月15日
当初契約(消費税8%
変更契約(消費税10%
居住開始令和元年12月1日
増改築等(消費税10%
一の取得とする
一つの計算明細書
4-1居住開始平成26年4月15日
住宅取得(消費税8%
居住開始令和元年10月31日
増改築等(消費税10%
二以上の取得
二つの計算明細書
5-1居住開始平成22年1月25日
従前住宅(消費税5%
居住開始令和元年10月31日
再建住宅(消費税10%
二以上の取得
二つの計算明細書
6-1家屋が共有ですまい給付金を受ける場合交付額÷持分を控除
6-2住宅取得等資金の贈与の特例を受ける場合特例適用額を控除

上記一覧では分かりやすいように消費税8%、10%など消費税率で整理していますが、国税庁の記載例や計算明細書では「特定取得」、「特別特定取得」など住宅ローン控除の用語が使用されています。特定取得(消費税8%、10%の住宅の取得等)、特別特定取得(消費税10%の住宅の取得等)について詳しくは以下の記事をご覧ください。

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記載例1-1 同一年に、住宅取得(消費税10%)のみ

記載例一の取得二以上の取得ポイント
1-1居住開始令和元年10月31日
住宅取得(消費税10%
なし一の取得
一つの計算明細書

ポイント

  • 住宅取得のみで一の取得
    ∴ 一つの計算明細書で計算
  • 「消費税額等に関する事項」欄
    ・10%に○
    ・消費税10%の消費税額を記載
  • 「8%10%同一年中取得」欄は空欄
  • 申告書第二表「特例適用条文等」欄
    ・令和元年10月31日居住開始(特別特定)

記載例2-1 同一年に、住宅取得(消費税8%)⇒増改築等(消費税10%)

記載例一の取得二以上の取得ポイント
2-1居住開始平成31年1月15日
住宅取得(消費税8%
居住開始令和元年10月31日
増改築等(消費税10%
一の取得とする
一つの計算明細書

ポイント

  • 住宅取得と増改築等で二以上の取得
    ・居住開始年同一
    ・計算明細書二面⑳欄同一(消費税8%は(特別)特定取得に該当(最高40万円)、消費税10%も(特別)特定取得に該当(最高40万円))
    ∴ 一の取得とする、一つの計算明細書で計算
  • 「消費税額等に関する事項」欄
    ・8%と10%両方に○
    ・消費税10%の消費税額を記載
  • 「8%10%同一年中取得」欄
    ・○
    ・消費税10%の取得対価を記載
  • 申告書第二表「特例適用条文等」欄
    ・平成31年1月15日居住開始(特定)
    ・令和元年10月31日(特別特定)

記載例2-2 同一年に、中古取得(消費税なし)⇒増改築等(消費税10%)

記載例一の取得二以上の取得ポイント
2-2居住開始平成31年1月15日
中古取得(消費税なし
居住開始令和元年10月31日
増改築等(消費税10%
二以上の取得
二つの計算明細書

ポイント

  • 中古取得と増改築等で二以上の取得
    ・計算明細書二面⑳欄別々(消費税なしは(特別)特定取得に該当しない(最高20万円)、消費税10%は(特別)特定取得に該当(最高40万円))
    ∴ 二つの計算明細書でそれぞれの控除額を計算して合計する(重複適用)
  • 重複適用の書き方
    ・中古分、増改築分両方の「重複適用」欄に○
    ・増改築分の㉓欄にそれぞれの控除額の合計額を記載
    中古分(20万円限度)+増築分(40万円限度)=合計額(最も高い40万円限度)
  • 中古分「消費税額等に関する事項」欄
    ・なし又は5%に○
    ・消費税10%の消費税額は空欄
  • 中古分「8%10%同一年中取得」欄は空欄
  • 増改築分「消費税額等に関する事項」欄
    ・10%に○
    ・消費税10%の消費税額を記載
  • 増改築分「8%10%同一年中取得」欄は空欄
  • 申告書第二表「特例適用条文等」欄
    ・平成31年1月15日居住開始
    ・令和元年10月31日(特別特定)

記載例3-1 同一年に、当初契約(消費税8%)⇒変更契約(消費税10%)

記載例一の取得二以上の取得ポイント
3-1居住開始令和元年11月15日
当初契約(消費税8%
変更契約(消費税10%
なし一の取得
一つの計算明細書

ポイント

  • 住宅取得(当初契約、変更契約)で一の取得
    ・計算明細書二面⑳欄同一(消費税8%は(特別)特定取得に該当(最高40万円)、消費税10%も(特別)特定取得に該当(最高40万円))
    ∴ 一つの計算明細書で計算
  • 「消費税額等に関する事項」欄
    ・8%と10%両方に○
    ・消費税10%の消費税額を記載
  • 「8%10%同一年中取得」欄
    ・○
    ・消費税10%の取得対価を記載
  • 申告書第二表「特例適用条文等」欄
    ・令和元年11月15日居住開始(特定、特別特定)

記載例3-2 同一年に、当初契約(消費税8%)⇒変更契約(消費税10%)⇒増改築等(消費税10%)

記載例一の取得二以上の取得ポイント
3-2居住開始令和元年11月15日
当初契約(消費税8%
変更契約(消費税10%
居住開始令和元年12月1日
増改築等(消費税10%
一の取得とする
一つの計算明細書

ポイント

  • 住宅取得(当初契約、変更契約)と増改築等で二以上の取得
    ・居住開始年同一
    ・計算明細書二面⑳欄同一(消費税8%は(特別)特定取得に該当(最高40万円)、消費税10%も(特別)特定取得に該当(最高40万円))
    ∴ 一の取得とする、一つの計算明細書で計算
  • 「消費税額等に関する事項」欄
    ・8%と10%両方に○
    ・消費税10%の消費税額を記載
  • 「8%10%同一年中取得」欄
    ・○
    ・消費税10%の取得対価を記載
  • 申告書第二表「特例適用条文等」欄
    ・令和元年11月15日居住開始(特定、特別特定)
    ・令和元年12月1日(特別特定)

記載例4-1 別の年に、住宅取得(消費税8%)⇒増改築等(消費税10%)

記載例一の取得二以上の取得ポイント
4-1居住開始平成26年4月15日
住宅取得(消費税8%
居住開始令和元年10月31日
増改築等(消費税10%
二以上の取得
二つの計算明細書

ポイント

  • 住宅取得と増改築等で二以上の取得
    ・居住開始年別々
    ∴ 二つの計算明細書でそれぞれの控除額を計算して合計する(重複適用)
  • 重複適用の書き方
    ・住宅取得分、増改築分両方の「重複適用」欄に○
    ・増改築分の㉓欄にそれぞれの控除額の合計額を記載
    住宅取得分(40万円限度)+増築分(40万円限度)=合計額(最も高い40万円限度)
  • 住宅取得分「消費税額等に関する事項」欄
    ・8%に○
    ・消費税10%の消費税額は空欄
  • 住宅取得分「8%10%同一年中取得」欄は空欄
  • 増改築分「消費税額等に関する事項」欄
    ・10%に○
    ・消費税10%の消費税額を記載
  • 増改築分「8%10%同一年中取得」欄は空欄
  • 申告書第二表「特例適用条文等」欄
    ・平成26年4月15日居住開始(特定)
    ・令和元年10月31日(特別特定)

記載例5-1 別の年に、従前住宅(消費税5%)⇒再建住宅(消費税10%) 東日本大震災

記載例一の取得二以上の取得ポイント
5-1居住開始平成22年1月25日
従前住宅(消費税5%
居住開始令和元年10月31日
再建住宅(消費税10%
二以上の取得
二つの計算明細書

ポイント

  • 従前住宅と再建住宅で二以上の取得
    ・東日本大震災で居住できなくなり再建
    ・従前住宅(適用期間の特例)
    ・再建住宅(重複適用の特例)
    ∴ 二つの計算明細書でそれぞれの控除額を計算して合計する
  • 重複適用の特例の書き方
    ・従前住宅分、再建住宅分両方の「重複適用の特例」欄に○
    ・再建住宅分の㉓欄にそれぞれの控除額の合計額を記載
    従前住宅分(50万円限度)+再建住宅分(60万円限度)=合計額(限度なし)
  • 従前住宅分「消費税額等に関する事項」欄
    ・なし又は5%に○
    ・消費税10%の消費税額は空欄
  • 従前住宅分「8%10%同一年中取得」欄は空欄
  • 再建住宅分の計算明細書一面の左上に震(○をする)と記載
  • 再建住宅分「消費税額等に関する事項」欄
    ・10%に○
    ・消費税10%の消費税額を記載
  • 再建住宅分「8%10%同一年中取得」欄は空欄
  • 申告書第二表「特例適用条文等」欄
    ・平成22年1月25日居住開始
    ・震 令和元年10月31日居住開始(特別特定)

記載例6-1 家屋が共有ですまい給付金を受ける場合

記載例内容ポイント
6-1家屋が共有ですまい給付金を受ける場合交付額÷持分を控除

ポイント

  • 家屋が共有の場合のすまい給付金は実際に交付を受けた金額ではなく、
    (交付を受けた金額)÷(家屋の共有持分)で計算した金額を控除する。
    ・交付を受けたすまい給付金200,000円、家屋の共有持分1/2の場合
    ・200,000円÷1/2=400,000円を控除する

記載例6-2 住宅取得等資金の贈与の特例を受ける場合

記載例内容ポイント
6-2住宅取得等資金の贈与の特例を受ける場合特例適用額を控除

まとめ

いかがだったでしょうか。組合せによって書き方が変化する計算明細書。一定のルールを見出せるよう整理してみました。ご活用ください。

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